四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!

「お泊まりから帰る日。シュリちゃん達が部屋からおりてくる前にリビングで」

「ごめんね。全然気づいてなかった」

「気づかれないように振る舞ったんだ。気を遣われても気まずいし」

あの日、皐月くんは寝不足だからもう少し寝て帰るって言って、私達とは一緒に帰らなかった。

夜に四季くんと電話したときも曖昧な反応してたし。

四季くんはその日のうちに事情を知ってたんだと思う。

「かいちゃんがね、このまま一緒に居たらぼくが幸せになれないって」

なんでもないことみたいに、皐月くんはニッと笑った。

「なんでそんなこと…」

「シュリちゃんとしーちゃんみたいにフツーの恋愛をしろって言われたんだ」

「そんなの何が普通かなんて分かんないじゃん!」

「でもさ?世間的にはまだまだマイノリティなんでしょ?かいちゃんも女の子がよくなっちゃったのかな」

「そんなことないからね?絶対に、ないよ」

言い切った私に、皐月くんは「なんでシュリちゃんがそんなこと分かんの…」って言った。

絶対にそんなことはない。

海斗さんの苦しそうな表情、
皐月くんを想うからこそ幸せになって欲しいって気持ち。

なんでそれだけじゃだめなんだろう。

男とか女とか、
恋愛はこうあるべきだとか…ひとに勝手に決められたルールを押しつけられて、
なんで本当に一緒に生きていきたいひとを諦めなきゃいけないの。