四季くんの溺愛がいくらなんでも甘すぎる!

皐月くんの体が私の上から離れた。

ゆっくり体を起こした私に、皐月くんは「ごめん」って言った。

「ぼく、四季くんに殺されちゃうだろうなぁ」

「大袈裟だよ」

「大袈裟じゃないよ。シュリちゃんのこととなると…」

ふ、って笑った皐月くんの口元から覗く八重歯。
悲しそうな表情は変わらない。

「黙ってようよ。私、四季くんには言わない」

「言いなよ。ぼくは危険だからもう近づかないようにしてもらえばいい」

「皐月くんから離れたりもしない。事情があるんでしょ?私を利用して忘れたいくらいのこと」

「シュリちゃんが…ッ…」

「うん?」

「シュリちゃんの心が壊れてもいいって思ったわけじゃない…でもぼくがしたのはそういうことだ…。忘れられるならなんでもいいって、女の子にこういう感情を抱くことが世間のフツーならぼくもフツーになればいいって…だからシュリちゃんを利用した。親友のだいじな子なのに。殺されてもいい…」

「分かんなくなっちゃったんだよね?皐月くんの中の正しさが分かんなくなっちゃうくらい………何があったの?」

「…かいちゃんに、このままだと皐月が幸せになれないからって…」

「言われたの?」

コクンって頷いて、皐月くんは天井を見上げた。