「……千尋のこと、好きじゃなくなったんだ」
「……涼ちゃん……」
あたしには返す言葉がなかった。
“好きじゃない”
そう言われたら、それまでだ。
あたしたちは、ただの恋人同士。
どちらかの『好き』が失われてしまえば、それまでなんだ。
「……ごめん」
君は何度目かの『ごめん』を言うと、スッと静かに立ち上がった。
君と出会うまで、一人で住んでいたあたしの部屋。
君と恋に落ちてから、自然な流れで、君はこの部屋の住人になった。
そして。
あたしはまた、一人になる――……
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