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「で? どうなんだよ、あの子とのデート?」

「まあ、楽しかったかな」

 二週間後、俺はまた来栖を飲みに誘われ、いつもの焼鳥屋に着くと、早速来栖から矢薙とのことを聞かれる。

「へえ? そっか、そっか。なら良かったよ」

 矢薙とのデートは、確かに楽しい。なんか新鮮で、飾らない矢薙のことを素直にいいと思う。

「で? どうなんだよ」

「なにがだよ?」

 俺はタブレットを操作しながら、聞き返す。

「あの子との結婚だよ」

「いや、それは……」 

 そもそも俺は、結婚なんてする気はなかった。 誰とも恋をしなくても、一人で生きていけるとさえ思っていた訳で……。

「なんだよ? まだ躊躇ってんの?結婚」
 
「いや、まあ……」

 そりゃあ……今後の生活のこともあるし、結婚という一大イベントである以上、真剣に考えなければならない。

「あの子の気持ち、真剣なんだろ?」

 いつのまにかタブレットで注文を終えた来栖は、おしぼりで手を拭きながら俺に問いかける。 

「………」

「なんだよ。ビビってんのか?」

「なんていうか……。俺は矢薙と結婚してもいいのかなって、思って」

 相変わらず俺は、臆病だと思うよ……。

「ウジウジ悩むくらいなら、いっそのこと結婚しちゃえばいいだろ」