先輩の理性、疼かせてもいいですか?

純血種と出逢ったヒートの細胞は、
それ以降、純血種同士以外との行為を拒絶する。

″誓い″に背いて行為に及んだ場合、
拒絶反応を起こして、ヒートはその性を失ってしまう。

純血種を失ったプラスは、劣等遺伝子のレッテルを貼られてしまい、
財閥界をはじめ、各業界でトップに君臨する資格を剥奪される。

よつばさんの狙いはそこだったんだ。

「純血種の話聞いたときからどうしよっかなーって思ってたけどさ?昨日いきなり連れてきただろ?のんびりしてらんねーからさ」

「どうやってセナに連絡した?」

「お前が風呂に入ってるときにお前のスマホから」

「あー、俺がバカだったわ。認証方法が迂闊だった」

どうやらふたばさんはスマホへのアクセスが認められる認証方法を、
顔認証にしていたらしい。

ふたばさんとよつばさんは一卵性の双子だ。
よつばさんなら簡単に入り込める。

そうしてメッセージさえ送りさえすれば、
あとは消去しておけばバレることはない、はずだった。

「兄さんさぁ…」

「なに?今さら自分の地位を返してくださいなんて泣いて頼んでもおせーよ。この子の細胞に拒絶反応が出るのは時間の問題なんだよ!」

「へぇ…謝罪する気はゼロってことでいいんだ?」

「はぁ?」

「おいで」

ふたばさんが廊下に顔を向けて、人を呼んだ。
スッてふたばさんの隣に並んだのは…。