先輩の理性、疼かせてもいいですか?

「入って」

「でも…」

「いいから」

背中を押されて、入学早々、私とはまったく関係の無い、むしろこれからも無縁だろう生徒会室に入室した。

「こっち」

ふたば先輩の背中についていったら、生徒会室の奥にはもうひとつ扉があって、そこにぶら下がっていたプレートを先輩はひっくり返して「使用中」に変えた。

部屋の中は薄暗い。
教室の机を四つ「グループ」の形にしたくらいの大きさのテーブルとソファがあるだけで内装は簡素だった。

さっきよりも強い力でふたば先輩に引っ張られてソファの背もたれに、背中の上まで沈んだ私に先輩が覆い被さる。

「純血種の条件、知らないの?」

「…はい。どうせ出逢えないって思ってたから。あんまり気にしたこともなくて」

「もっかい舌出して」

言われるまま、べって出した舌を、先輩がペロって舐めたから、肩がビクッて震えた。

「コレ」

「へ…?」

「純血種同士が出逢うと、ヒートの舌に十字架みたいなプラスの模様が浮き出るんだ」

ふたば先輩が舌を出したままの私を、スマホのカメラで撮った。

見せられたスクリーンには私のアホ面…と、
「+」が薄い刻印みたいに浮き出た舌。

「知らなかった…」

「おかしいと思った。セナを見た瞬間の波長。ビリビリって細胞が痺れていくみたいに…」

「じゃ…あの、先輩…」

「うん。もうとっくに限界だよ。でもさ」

「はい」

「ほんとはセナも相当ツライんじゃない?だって純血種と出逢ったら…」

「経口摂取、ですよね…」