全部口から出ていく(たすけて泣)。

と脳内CMきっちり5分視聴したところで,私ははっと意識を取り戻した。

ちなみに夜恵はその間ずっと勝手に私を抱き締めていた。

あ。

すごい私収まってる。

夜恵細見えと低身長見えするのに意外とどっちもそんなことない。



「彼女,なってくれる気になった?」



やっと呼吸ができるようになった頃。

聞かれてもないことを唐突に求められた。



「え?」

「霧香。多分俺の方がずっと霧香のこと好きだよ。霧香も,俺の事好きなんだよね……?」



どうせ黙ってたら言わされる。

そんな空気に耐えかねて,私はこくんと頷いた。



「蛙化とか一生か勝手もしないし,させない努力……っていうかする暇ないくらい大事にするし。ね,どう? お嫁さん,来る??」



飛躍が,著しい。

頭大丈夫かな。

夜恵も私みたいに変な風になっちゃったとか??



「(か,かのじょでおねがい)」

「じゃあ,俺は彼氏ね」



何を言ってるんだろう。

私が彼女なら夜恵は彼氏。

当たり前なのに,まるでおままごとの配役みたい。

……うれしそうだ。