全部口から出ていく(たすけて泣)。

「(なん,で?)」



ぽつりと溢れた疑問を上塗るように,夜恵の言葉が降る。



「あーー。かわいい。ツンツンしてる霧香が甘えてくれるとか。しかもこれ全部本音とか。どうしよう,霧香は本気で悲しんでるのに,あーーどうしよう。嬉しすぎる耐えなくちゃでもにやけるどうしよう」



すっと息を吸う音がした。



「かわいい」



ドロッと錯覚を覚える甘い音。

どうしようって,私もだよ夜恵。

動けない,どうしたらいい?

逃げなくちゃという防衛本能が働くくらい,びっくりする音だ。

なんなら私と同じだだ漏れの気配すらする。




「あ,びっくりした? でも霧香だけだとフェアじゃないかなぁって。全部もう俺も言っちゃうことにした」

「(な,何を?)」

「霧香が俺をすきとか嬉しすぎる。かわいい。ずっとかわいいのほんとずるいと思う。俺もーーーー霧香が世界一すき。もっと抱き締めたい」



……

……

……いっったん,しーえむはいります……