「ほんとに? 霧香,俺のこと好きなの?」



様子を訝しみながらも,最初に聞いたのはそれだった。



(だから違うってば! 嘘なの,嘘!)
「うん! ほんとだよ!! なんか文句ある!?」



文句しかない!!!



「な……」

(エイプリルフールでした~!!)

「小さい時からずっと,世界で一番夜恵が大好き!!」




嫌われたくない嫌われたくない。

だけど,もう何も言われたくない一心で私は言葉を遮った。

否定しようとすればするほど,本音がするすると大きな声で溢れていく。

なにか,なにか他に



「(こほん。今日,お見舞いに来たんだっけ?)」

「え,俺? 今??」

「(そうだよ。他に誰がいるの。夜恵しかいないじゃん)」



あれ。

いつも通り最悪だけど。

いつも通り喋れてる。

なにか大事なもの一杯失ったけど,いい感じかも。



「うん。まあ,お見舞い。あんまり霧香体調崩したりしないし,崩しても無理するでしょ? メッセージも返してくれないし……」



だから,わざわざ来てくれたんだ。

スマホをみればいくつも通知が来ていた。



(へ,へーそうなんだ~……)

「う,嬉しい……」

「霧香?」



またお互いにフリーズする。