全部口から出ていく(たすけて泣)。

「あ」

「(なに)」

「えーでもなぁもうちょっと」

「(なに!)」



うんうん言いながら,私をチラリと見る夜恵。

終いには



「ま,いっか」



なんてどう見ても悪人の顔で笑う。



「自ら願いを叶えた時,卯の魔法は完全に消えてしまうだろう。だって」



つ,ま,り



「(え,今?)」

「今じゃなくてもいいよ。俺はね?」



素直になれます様に。

……

私の,願い。

もはや叶ってるのに,これじゃだめなんだ。

自ら願いを。

自ら素直に。

いう。



「夜恵が,すき。いつもツンツンしたって,彼女になりたい」



ばっと大手をあげた夜恵がずんずんと戻って来た。

思わず身をよじると,目の前でとまって倒れこんでくる。



「かっわいいなぁもう。抱き締めたい」

「もうしてる! 離して!!」

「あ,戻った」



ばたばたと抵抗すると,片手を掴まえられた。



「う,あ」

「あれ,まだ効いてる?」

「う,う……うるさい!!!」



無事,なおる。