「風太……、今何してんのよ」



連絡先を見つめたまま、私のひとりごとが部屋に響く。






『和音、お前また絵ばっかり描いてんの?そんなんだから友達出来ないんだよ』



気づいたら、風太が私の席の前に立っていた。



あれ?



(ここって……)



懐かしい高校。

三年六組の教室。




『風太……?』

『なんだよ、目ぇ丸くしちゃって。ブスが余計にブスに見えるぞ』



その口の悪さ。

本当に風太だ。



『ねぇ、あんた、今何してんの?どこにいんの?』

『はっ?お前、どうかしちゃったの?俺はここにいるじゃん』

『メッセージ送っても全然返事くれないし。ってか、既読にもならないじゃん』

『忙しいんだよ。和音にかまってるヒマなんかねーの』



風太はニイッと笑って。

私の席から離れていく。



『待って、ねぇ!』



引きとめなくちゃ。

そう思いつつ。

頭のどこかで思っていた。



(あぁ、もう起きなくちゃ)



夢だってわかっているけれど。

でも、もっと風太といたい。