「な……、何!?」
天井を見上げる。
鼓動が速くなっていく。
ドクンドクン……。
(ちょっと待って)
どうして天井の上から物音がするの?
だって。
ここは。
この部屋は。
二階建てのアパートの、二階にあるのに。
(上から物音が聞こえるはずないのに!!)
恐ろしくなって。
背中を嫌な汗が伝う。
ドクンドクン……。
最近は、こんなことばかり。
翌日。
私が大学に行くと。
掲示板の前に、同じゼミの“やっこ”がいた。
やっこってみんなが呼んでいるから、私もそう呼んでいるけれど、本名が何だったのか、もう思い出せない。
「やっこ、おはよう」
「和音ちゃん。今日の午前の講義、畠中先生のビジュアルデザインって受けてる?」
「え?うん」
「休講だって。畠中先生、何かあったのかなぁ?」
やっこはそう言っているけれど、全然心配しているふうでもなく、「食堂行ってアイス買ってこない?」と、聞いてきた。



