何回も謝りながら拾うと、彼のバカにしたような笑いが聞こえた。
『はっ、ダッサ。下向いて謝るとか、俺のこと怖くて見れないんじゃね』
ち、ちが……。
『……えっ、と……』
何とか、言葉を探す。
『すみません』
結局言葉が出てこなくて、また謝る。
『は?良い加減しつけーんだよ!』
拳を振り上げるのが影の動きでわかる。
な、殴られる……!
目を閉じる。
けれど、それが私に当たることはなかった。
恐る恐る目を開けた。
そこには、学校の有名人、青花先輩がいた。
『やめた方がいいよ。下級生に手を出すなんて終わってる。資料持ってるだろ?ぶちまけちゃったのにそれはひどいよ』
先輩……?
ドキッと胸が高鳴る。
『重いやつ持っててふらついたんだろ。最低だぞ、お前ら。謝れよ』
『せ、先輩、謝らなくて大丈夫です!』
資料を集め終わってそう言う。
『す、すまん……』
彼は気まずそうに逃げてった。
『大丈夫?立てる?』
『は、はい』
『じゃ』
笑顔でそう言い、行った先輩に、まだ胸の高鳴りが止まらなかった。
先輩はあんなの、忘れてるだろうけど。
私はまだ忘れられない。
あの、先輩の姿を。



