先輩の言うとおり、人が少ない。
「だから、秘密、話せなさそう」
「そうですね。私今から話しません!」
な、なんかややこしや……。
今から話すって言いたかったんだけど……伝わった?
「そっか。じゃあ、聞かせてもらわない」
聞かせてもらうってことか。
今から、私の大告白!
「私——」
「ストップ」
なぜか先輩にさえぎられる。
「な、なんでですかっ」
私なんかした⁉︎
「僕が言ってって言ったくせに、やっぱり僕から言わせてもらって良い?」
「は、はい……って、いいえ」
「良かった」
先輩は微笑むと、口を開いた。
「僕、桃姫のこと、嫌いなんだ。一人の女の子として」
私のこと、き、ら、い……?
で、でも待って。今日、エイプリルフールだから……。
バッと口元を覆う。
「逆の意味に、受け取ってくれた?」
悪戯っ子みたいに笑った先輩。
こくこくとうなずく。
つまり、先輩、私のこと——?
「私も、先輩のこと、嫌いです。一人の男の子として」
すらすらと出てきた言葉。
「逆の意味です」
一応つけたす。
「え……、……うわ、マジで嬉しい」
喜びを噛み締めている様子の先輩。
「俺だけが好きなんだと思ってた」
その表情が、かっこいい。
「でも、先輩こそ、そういうそぶり1つも……」
「まあそうだけど、頑張って伝えてた。ずっと、素直になれなかったから」
素直になれなかった、エイプリルフール……なんか、良い。
嘘つかないだけで素直なんて嘘だ。
だって、嘘をついたことがなくても、私、素直になれなかったんだから。



