「ゆうちゃん」

1週間後、卒業があと1週間と迫った頃の放課後に、先輩はやってきた。

「あっ、先輩」

そう返事をするも、内心はちょっと焦り気味。


そういえば、先輩のこと、すっかり忘れてた…。



でも、考える理由もないから、いいか。




だって、答えはもう決まってるから。




「行こう」

手を引かれて人気のないところに連れられた。



K棟の階段の踊り場。

そこは、告白スポットとして有名だからか、要がない限りは誰も来ない。



「お返事、考えてくれた、?」

先輩の目には緊張が見えて、これからいうことに、罪悪感が生まれる。


「はい」

目を伏せると、だいたい先輩は答えをわかってしまったのか、俯いてしまった。

「ごめんなさい」

「私、気づいたんです。愁夜が、好きだって」

「だから、先輩とは付き合えません。ごめんなさい」

絞り出した声は、震えていて、情けなかった。



「そっか」
低い、低い、怖い、声。

目の前の先輩の雰囲気が一気に変わったから、びっくりして顔をあげる。