「……選択、か」
頭から離れてくれない
別れる際に囁かれた言葉を反芻する。
──『おれのものにならない茜ちゃんを殺すか。
茜ちゃんの周りの人間をすべて殺すか。
ちゃんと、選んでね』
鼓膜に塗りたくられたよう感覚だった。
忘れることを許さない
確実にどちらかに決めないといけない脅迫。
遊び?冗談?
そう茶化して濁したいのに、脳が拒む。
目を逸らしたら、その時点で終わり。
本能が告げていた。
「…こわい……」
全身を覆うのは着実な恐怖だった。
この先、どうなってしまうのだろう。
布団にもぐりこみ、自分で自分を抱きしめた。



