「ねー、茜ちゃん」

「……はい」

「愛してる」

「知ってます」

「愛してるからさ。そろそろ本当にきみが欲しい」

「……」

「好きすぎて、狂いそう」




手を掬われた。
秋道さんの爪痕が残る、
絆創膏が2枚貼られた手の甲。


そこに、そっと口づけが落とされる。




「もう、我慢できない」

「……」

「あの時の選択、どっちがいいか決めといて」

「選択…?」



首をかしげる私に、秋道さんは今日一番ゆるくてふんわりとした笑顔を見せると


その唇を私の耳もとに寄せて囁いた。