病んだ心をつまびいて







無言の帰り道。

マンションへ到着した秋道さんは、迷いなく自分の部屋に私を連れこんだ。


そっと床に降ろされ、内鍵を厳重に閉める彼の背中を見つめる。



「……秋道さん」

「……」

「説明、してくれますよね」




勝手に学校に侵入して、勝手に私を連れ去って。

何が「迎えに来た」だ。
私はこの時、至福の時間を奪われたことに怒りをおぼえていた。



──けど、すぐに知ることになる。

私の何倍も、秋道さんの中には火が燃え滾っていたことを。