「おい!平石!」
「茜ちゃん返事しないで。おれの前で新山くんと喋んないで。殺したくなる」
「お前いい加減にしろよ!」
「それはこっちのセリフ。
その汚い目で茜ちゃんのこと映さないでくれる?」
止まない口論。
一体何事だとだんだんとまわりに人が集まってくる。
ど、どうしよう……
止めるべきなんだろうけど、私がなにを言っても余計ヒートアップする予感しかしない。
秋道さんの腕の中で困り果てていると
「お前たち何してるんだ!」と校舎から先生がこっちに走ってきた。
みんなの視線が自然と先生に移る。
助けを求めようと口を開きかけたとき
「茜ちゃん」
鋭さの滲む秋道さんの眼光に、ヒュッと喉が締まった。
「帰るよ、茜ちゃん」
そのまま風のように、私を拐ったのだった。



