「きみ、新山くんだよね」 「あ?」 「俺から茜ちゃんを奪ろうとしてる、新山くんだよね」 秋道さんの声が、ひときわ低くなった。 聞いたこともないくらい。 えもいえない空気があたりを包んでお互いの腹を探るような沈黙が走る。 新山くんをじっとりと見つめる秋道さんの様相からは、どこか異様な雰囲気を感じて─ 「……うん、わかった」 ただ一言。 秋道さんはつぶやいた。 理由もなくゾッとする。