秋道さんは意外にも無視はせず、しかしめんどくさそうに振り返る。 ふたりの視線が交わった時、間違いなくバチバチと火花が散る音が聞こえた。 「平石のこと、どこ連れて行く気だよ」 「……」 「お前がアキミチか。話は聞いてるぞ。ずいぶんと平石に付きまとってるみたいじゃねぇか」 刺すような眼光を放つ新山くん。 まるで気が立った狼の如く、周囲を怯ませるような迫力を醸し出している。 一方秋道さんは、そんな新山くんを前にしても無表情。 けど私を抱える腕には間違いなく力が入った。