病んだ心をつまびいて






「平石、一旦休憩にしよう」

「うん」



新山くんが、私の肩にまわしていた腕を
そっと離す。


「ほら」と差し出されたスポーツドリンクを受け取りながら、新山くんの隣に腰を下ろした。



「お前けっこう運動できるんだな。走りやすいよ」

「一応中学では運動部だったから」

「へぇ、何部?」

「バスケ」



他愛もない会話がポツリポツリと続いて、居心地の良さと幸せを感じる。

新山くんは声のトーンが落ち着いているからとても話しやすい。



あの日から一週間。


私たちは早速、放課後を使って二人三脚の練習をはじめた。
新山くんは柔道部に入ってるから、そっちの方に影響が出ない程度に数十分だけだけど。


この数十分が、今や一番楽しみな時間と
いっても過言じゃない。