「…そいつ、やばいな」
話し終えて、新山くんの第一声はそれだった。
たしか仁奈も同じような反応をしていた気がする。
やはりまともな感性を持っている人間からの秋道さんへの評価は総じて"ヤバい"なのだ。
さすがすぎる。
「どうしてもっと早く相談してくれなかったんだ。連絡先のことも、事情を話してくれればまた交換したのに」
「ごめん…迷惑かけそうで言い出せなかった」
「迷惑なわけあるかよ。頼ってくれた方がうれしい」
これが甲斐性というものだぞ秋道さん。
かっこいいよ好きだよ新山くん。
「うん…ありがとう」
幸せだ。新山くんに甘えられる理由ができるなんて。
一周まわって秋道さんありがとう。
それから私たちは再びお互いの連絡先を交換した。
「これからいつでも平石の声が聞けるな」
気のせいかもだけど、画面を見つめる新山くんの目がなんだか嬉しそう。
まぁ私のほうがぜったい余裕で嬉しいですが。
「アキミチにまた何かされたら、すぐに言えよ?いつでも助けてやるから」
「うん。そのときはどうぞよろしく」
「ふっ、堅苦しいな。いっそ俺のこと彼氏だって紹介して、アキミチのこと諦めさせるか?」
本気か、はたまた冗談か。
新山くんは私をその瞳に囚えて
「それか、まじで俺のものになる…?」
妖しくほほえんだ。



