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やってきたのは屋上。

本来なら立ち入り禁止の場所なのだけれど、新山くんはそんなのおかまいなし。



そういうのをさらっと踏み越えてしまう姿は、普段のどちらかというと硬派に見える彼には意外で、垣間見えた新しい一面にドキリとした。



フェンス付近まで歩いたところで新山くんが足を止めた。
掴んだ手をそのままに、私をまっすぐ見つめてくる。



かっこいい…まぶしい。



長身、制服の上からでも分かるがっしりとした体。
さっぱりと切られた短髪に、強面だけど整った顔。



なにもかもが好きすぎる。



胸の高鳴りと、好きっていう気持ちが止まらない。



私を前にした秋道さんも、きっとこんな気持ちなんだろう。



……とはいえ、普通なら躊躇してしまうところをあの人は事も無げに飛び込んでくるから、同じく誰かに恋している立場からすると尊敬に値する。



むりだもん。
新山くんを前にして、秋道さんみたいにガンガンいけるわけない。