夢を見た。

よく覚えてないけど、すごく怖い夢。




「………」



起きた時には汗びっしょり。
そのせいで時間もあまりないのに朝シャンなんかする羽目になった。




体をサッパリさせて気持ちを切り替える。


泥のようなまどろみの中で必死に恐怖から逃れようとするあのカンジ。
誰かに共有したくてもできない。


どうして夢というものは醒めてしまえば忘れることが多いのだろう。


そんなどうしようもないことを、お弁当を詰めながら考えた。




さてさっさと朝メシを食おうという前にスマホ確認。



仕事ばかりで滅多に家に帰ってこない母親からの連絡はもちろんなく。
一件だけとどいていたメッセージはお隣さんからのラブコールだった。




『おはよー。今日も愛してるよ

茜ちゃんがおれのこと好きになりますよーにってお天道様にお祈りしとくから

くれぐれも新山くんなんかに絆されないでね。

未来の旦那様より』




あいもかわらず敵意剥き出しで気持ち悪い秋道さん。


私は小さくため息をつき、ウサギがウサギに目潰しをしているなんともいえないスタンプだけ送って画面を閉じた。