「好き…好き…新山くんになんてあげない」
「………」
「おれの歌で茜ちゃんの心を繋ぎ止められるのなら、喉が潰れても歌い続けるよ」
この人は、私の弱点をわかってる。
困ってる人を放っておけない性格
大好きな新山くん
秋道さんの歌声
まいったな。
把握されてちゃ、秋道さんはそれを存分に使ってくる。
ほら
こうやって
「茜ちゃんが"わかった"って言えるまで、おれのそばで甘やかされてよーか」
シングルベッドの上。
手首足首に枷をはめられて。
「好きだよ茜ちゃん。他のこと考えちゃだめ。茜ちゃんの心の中にいていいのはおれだけだよ。骨の髄までおれのもの」
「ぅっ…あ」
「振り向いてくれないのなら、殺してでも手に入れるからね」
とろけるような声で、ひたすら囁かれた。
言葉全部が毒のよう。
一歩間違えればこちらまで狂わされそうな呪文だ。



