「茜ちゃん」
「はい?」
「かわいい」
いとおしげに目を細める秋道さん。
どこか雰囲気が違った。
ゆるさじゃない、色気みたいなものを放っている。
「茜ちゃんて、おれの新曲聴いた時だけは恋する乙女みたいな顔してくれるよね」
「え、そうですかね…」
「おれじゃなくて、おれの曲に恋してるのかな?」
秋道さんはギターを置くと、私の隣へやってきた。
そのまま肩を抱かれ、「妬けるね…」と首すじにキスを落とされる。
「ちょ…」
「きみに出会ってからね、恋の曲しか作れなくなったんだ」
耳もとで低く囁かれる。
「この曲含め、これまでの曲は茜ちゃんへの気持ちをいっぱい込めたものだよ。おれがどれだけ茜ちゃんを好きなのか、いろんな表現を使って音を紡いでる」
胸壁に抱きこまれ、足でホールド。
身動きが取れない私の鼓膜を
甘い声でいじめてくる。



