溶けるように、曲は終わった。
入れ替わりに私の拍手が広がる。
「すごい、素敵な曲ですね」
「へへ、そーかな」
私も秋道さんもにっこにこ。
そうだ。私が本来お隣さんと求めていた空気感はこんなかんじだ。
いつものような、ねっとりべっとりしているものではない。
「なんでしょう…こう、フレーズすべてに本物の恋心が宿っているというか。Cメロなんか男の子の想いがついに爆発しちゃったみたいな…一生懸命な気持ちにたまらなくキュンキュンしました」
優しい歌声にはたしかな情熱が込められていた。
純粋で健気で、すごく応援したくなるような。
「とにかく!今回の曲も最高です!もっと的確に伝えられる語彙力があればいいのに…。けど、やっぱり私秋道さんの歌好きだなぁ」
うっとりと込み上げるものを語りまくっていれば
それを黙って聞いていた秋道さんがクスリと笑った。



