.




なんて単純かつ簡単な私。




「てきとーに座ってね」





"秋道さんの新曲"

それだけで、こうしてうながされるまま部屋にお邪魔し、ふかふかのお座布団の上に座ってしまった自分が憎い。



でも、どうしても弱いのだから仕方ない。

心を掴まれてしまっているから──





「それじゃーさっそく、いい?」



秋道さんはカーペットの上に転がっている音響機器をどかしながら、その真ん中にあぐらをかいた。



手には一本のギター。



秋道さんのお気に入りだとかいう、ちょっと弦が太めのやつ。



目が合って、黙ってうなずいた私に、秋道さんが穏やかにほほえむ。