「秋道さん、いたい」
そう訴えても、おかまいなしに押し倒してくる。
一丁前にたくましい腕に囚われて、されるがままシーツの上に沈んだ。
ジャラリと鎖が鳴く。
私を見下ろす秋道さんは、色っぽいけど
やっぱりどこかゆるくて。
警戒心と日常感がないまぜになり私の判断を鈍らせた。
「茜ちゃんはひどい子だね」
…ちょっと怒ってるような声。
「おれのこと、すぐ寂しい気持ちにさせる」
「……」
「メールも電話も出やしない。玄関のドアの前でずっと待ってても中からは物音一つしないし。心配になってお邪魔してみればスヤスヤ寝てる茜ちゃん発見」
「どーやって入ったんですか変態」
「いくら寝顔が天使だからって許さないよ。おれ怒ってるんだからね。寂しくて気が狂いそうだった。昨晩はなにしてたの?この夜更かし娘」
「華麗なるスルー」
ふたたび首もとに顔をうずめられ、チクリとした痛みがひとつふたつ。
まるでマーキングのように私の肌に痕を植えつけてくる。



