どうにも言葉に詰まってしまう。
闇雲な勢いで秋道さんという大ボスに何度挑んでも、やり返されるのが関の山。
かといって、たったひとつ胸に決めたことを実行した私が、新山くんのもとへ無事帰れるかはわからない。
相手が相手だ。
死なば諸共の気持ちでいかないと、あの強烈な変態ヤンデレパワーに打ち勝つことはできない。
すると、新山くんが足を止めた。
「いまから俺、かわいいこと言う」
なんて、かわいいことを言いはじめた。
かわいいな、なんだろ。
「俺、もう我慢とかできねぇの」
「え……」
「つまりこれ、命令な」
「う、うん?」
「体育祭の二人三脚で1位獲ったらさ」
どこからが風が吹き、オレンジの香りをさらっていく。
「──俺の、正式な彼女になれ」



