新山くんはしばらく止血をすると、さっさとガーゼを重ねて包帯を巻いてしまった。
「俺はおまえと死にたい。おまえは俺と生きたい」
「え……」
「どちらを取ることもできないのなら、中間を選ぶ」
左手を、私の左手に重ねた。
同じ包帯に包まれた、同じ傷。
それを恍惚と撫で合わせ、新山くんはうすく笑う。
「これで、許す」
切れ長の瞳が細められる。
愉悦なのか、口惜しさなのか。
きっとどちらも渦巻いているであろう表情に胸が締めつけられた。
「おそろいだ」
「……」
「俺たちがぶつかった証」
「……あか、し?」
「そう。おまえが俺から逃げなかった証」
「……」
「一生、この傷跡は残り続ける」
「……」
「もうおまえは誰のものにもなれない」
「……わたし、は」
「この体の隅から隅まで、ぜんぶ、心だって」
「……」
「俺のものだ」
抱きしめられた。
首に食い込んできた牙に、鋭い痛みを植えつけられる。
もう二度と逃がしてなんてくれない腕の中で、私は諦観とともに目を閉じた。
まだ恋に憧れていた幼き頃、夢にまでみた運命の赤い糸。
その何倍も重たく強固な刻印が、左手に痛みとして存在を叫んでいるなんて、誰が想像できただろう。
「平石は永遠に……俺のもの」



