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「平石……本当にごめん」
新山くんが救急箱を閉じる。
私の左手の甲には包帯。
ひたすら謝りながら甲斐甲斐しく手当をしてくれたぬくもりがまだ残ってる。
「病院連れてく。事情も話すから」
「平気。しばらくは痛むと思うけど、これは私たちの秘密にしよう」
「はぁ?ダメに決まってんだろ、行くぞ」
「行かないよ。私は大丈夫だから。おねがい」
「でも、俺……」
「おねがい」
新山くんは複雑そうな表情をしながらも、口を閉じてくれた。
本来はこういう人なのだ。
私の意見をきちんと尊重してくれる優しい人。
バツの悪そうな横顔にホッとする。
ようやく話の通じる新山くんに戻ってくれた。
「新山くん」
「……なに」
「新山くん、新山くん」
「なんだよ」
「へへ」
「なに笑ってんだ……くそ」
かわいいな。
そうつぶやいて、私のほっぺをつまんだ。
命の灯火が消えかかるほど壮絶な時間を過ごしたとは思えないくらい、穏やかな空気が流れる。
ずっと、今が続けばいいのに。
「さて、かなりお邪魔してしまったね。外もう真っ暗だ。おいとまします!」
「……平石、ちょっとまて」
「うん?」
「右手、貸して」
「ぬ?わかった」



