すると、ようやく
新山くんの瞳に温もりが宿る。
「…………俺の、ほうが」
かすかに聞こえた声が静寂に溶けていく。
私の背中に伸びる指先は震えていて、抱き寄せた途端に強くなった。
逃げないでくれ、と
怯えきった腕の中で、切なさが込み上げる。
「……平石……平石平石……平石……」
うわごとのように名前を呼ぶ新山くんを、必死に抱きしめ返した。
「俺……もう、死にてぇよ……」
「……」
「おまえのことなんて、見つけなきゃよかった……」
「……」
「好きすぎて……おかしくなる……」
「……に、やま、く」
「死にてぇのに……殺してぇのに……」
「……っ」
「こんなに幸せなのが……怖い」
じわりと肩が熱く湿める。
それは新山くんが飲み込んでくれたすべての滴。
こんなに愛されているのに、私はなにをしているのだろう。
いつまでもいつまでも、流されて、傷ついて。
悪魔の手のひらでうずくまっているだけ。
新山くんを傷つけたくなかったはずなのに、すべてが裏目に出て、むしろボロボロに壊している。
このまま、大好きな人を破滅させるの?
そんなの──いやだ。
自分の中でなにかが変わりはじめていた。
固く鍵をかけていた理性の扉が揺れる。
どこにも逃げ場がないのなら、できることはひとつだけだ。
必ず、なにがあっても、やり遂げてやる。
それが今まで愛してくれた人たちへの贖罪だ。



