「ほら、あーん」
素直に応じて、ひとくちひとくち大事に味わう。
ん、おいしい。
新山くんという本命がいてよかった。
じゃなかったら危ない。
たぶん私、このひとのこと好きになってた。
「大丈夫だからね、茜ちゃん」
「……」
「きみの抱える寂しさも、僕がぜんぶ消してあげるから」
なんにもいわない私の裏側をすくいあげるみたいに、アズマさんは慈愛に満ちた声で言った。
食事を終え、薬を飲み、私はふたたび横になる。
ひたすら髪を撫でられながら、ふと思ったことを口にした。
「ねぇ、アズマさん……私たち、以前どこかで会ったことがあるんですか……?」
私はアズマさんが両親の知人だってことすら知らなかった。
それなのに結婚までいきつくのは違和感しかない。
「会ってるよ。というか、よく遊んだ」
「え……」
アズマさんは自身の手帳を開くと、一枚の写真を抜き取る。
「ほら、これ」
そこには、幼いわたしとアズマさんが写っていた。
「茜ちゃんは6歳。僕は12歳。よく茜ちゃんの家にお邪魔しては、こうして遊んだんだ」
写真の中の私たちを見つめる。
アズマさんが私を抱きしめて、嬉しそうにむぎゅっとほっぺをくっつけているシーン。



