病んだ心をつまびいて




呼吸すら奪うように噛みつかれた。



さっきまでのキスがどれほど優しいものだったのか思い知らせてくるような、荒い交わり。



たまらずシーツを蹴ると、あやすようにふとももを撫でられる。




「……はあっ、茜ちゃんはまちがってるよ。新山クンのことを愛していない。キミが恐れている彼の愛の形が、ずっとずっと秘めていたものだったらどうするの?」


「ん……ふっ、ぅ」


「たとえおれに影響を受けていたとしても、彼の狂気は彼から出力されたものには変わらない。それを受け入れないのは、新山クンを受け入れないのと一緒だよ」




顎を持ち上げられ、新山クンとの別れ際に刻まれた痕をなぞられる。




「ずいぶん強く吸われたね……痛そうなくらい、赤黒くなってる。キミの大好きな、新山クンからのしるし」


「さ、わらないで」


「茜ちゃんは自分の理想を押しつけたいだけだ。すこしでも逸れると、違うものとして恐怖を抱く。歌を歌っているおれと、いまのおれを同じ人間として見てくれないようにね。わがままで傲慢で、罪な子だ。理想の新山クンは、もっともっと優しくてカッコイイもんね?」




ひどい、ひどい。


恐怖の根源を容赦なく抉ってくる。
ひとつも否定できなくて、悔しくて、鼻の奥がつんとした。





「おれはそんな茜ちゃんも愛してるよ。茜ちゃんは新山クンを愛しているつもりなんだろーけど、それはただの憧れだ」


「うる、さい」


「はやくあきらめようね。あきらめて、おれを愛そうね」


「うるさいっ、うるさい!」


「死にたくなるほど、愛してあげるから」





まるで洗脳。


話が通じない。言葉が届かない。


思考も、心臓も、なにもかも私に愛を伝えるためにできているような、異常な存在。



屈すれば、本当に私は虚無に堕とされる。





「私が愛しているのは……新山くん、だけ」





絞り出すように言った。


すると