「どうしたら……終わらせてくれますか」
目の前の、とろんとした目が、ほんのすこし伏せられる。
「……終わらせるって、なにを?」
「言わないとわかりませんか?」
「……」
「たしかに、私はいま、新山くんに恐怖を抱いています。知らない顔、知らない声。垣間見える片鱗に戸惑っています。想いが通じ合うことを望んでいたのに、こんなのおかしいですよね。わかっています」
「……」
「でも、その元凶はすべてあなたです、秋道さん」
「……おれのせいだって、言いたいの?」
「秋道さんに触発されなければ、新山くんはきっと普通だった、なのに」
許せなかった。
普通が壊されて、純粋に思えていた景色が黒く染まって。
自分の不甲斐なさも、新山くんの豹変も、すべてこの男のせいにしてしまいたかった。
「秋道さんが私の言葉を聞いてくれていたら、理解してくれていたら、こんなことにはならなかった」
「……」
「もう、私をあきらめてください」
「……」
「私は、あなたのことが大嫌い」
高ぶる感情でにじんだ涙をこらえる。
すべてを返してほしかった。なにもかも。
すると、秋道さんは悲しそうに口を引き結び、眉を下げた。
私から視線をそらし、ゆるりとさまよわせると
「それでも、おれは愛してる」



