「茜ちゃんは、新山クンのものなの?」
「わ、たしは……」
「新山クンのものになりたい?」
大好きな人の顔が脳裏にうかぶ。
いちばん最初にこみあげてきた感情は──
「すこし、怯えてるね」
秋道さんがうれしそうにほほえんだ。
それが答えで。
私は、新山くんを完全に"怖い"と思ってしまっている。
誤魔化しきれない気持ちに、悲しみが湧いた。
「いい?茜ちゃんは、おれのものになるのが正解なんだよ」
「なりません、なりませんから……」
「なら、死ぬ?新山クンに奪られる前に、この世界からキミを消しちゃおうか」
「どうしてそんなに極端なんですか」
「茜ちゃんが大好きだから。それ以外に理由がある?だいじょーぶ。キミを殺したあと、おれも同じ場所へ向かうよ。邪魔のされない箱庭で、消えるまで愛し合おうね」
なにが箱庭だ。
殺されてたまるか。
必死に睨んでも、愛おしげにくちづけられるだけ。
抵抗もできない。
されるがまま、身勝手に注がれる。
悔しくて、屈辱で、いますぐ逃げたかったのに。
「さぁ、本題を聞こうか。わざわざおれの部屋にきて、なにが目的だったの?」
ふ、と。
秋道さんの声がワントーン低くなった。
瞳が翳り、音もなく施錠されたような心地になる。
「そ、それは……」
「ゆっくりでいいよ。夜が明けるまで聞いてあげる」
言わないと
『解放してください』って。
なのに、いまさら心臓がばくばくしてきた。



