病んだ心をつまびいて



「いいかげんに……してください」



強めに胸板を押す。
すんなり離れてくれた、でも手首はつかまれたままで。



「むふふ、キス、しちゃったね」



無視して今度こそ口を拭う。


舌には甘ったるい味がこびりついていた。



「……ぜんぜん、動じてもくれないのは、新山クンと済ませちゃったからだよね」



手首と手首。
おまわりさんに捕まる犯人みたいに、まとめられる。



「ファーストキス」



くっついた2本の腕に、白い輪がはめられた。


結束バンド。
コードなんかをまとめるそれ。
いったいどこから取り出したのか、もともと用意していたのか、完全に拘束されてしまった。



「ちょっ……んっ、ぅ」



かぷりと首すじを甘噛み。
横抱きにされては丁寧にベッドの上に寝かせられた。




「新山クンとのキスはカフェオレの味。おれとのキスは苺の味。うん、おれとのキスのほうがかわいーから、茜ちゃんのファーストキスはおれのものにしよう」


「暴論やめてくだ……んぅ、はぁ、まっ」


「ん……せんちゃ……ぅ……すき……」




覆いかぶさるように唇をかさねてくる。


長く堪能してから、ゆっくり角度を変えて、いちいち深い。
そんなものをずいぶん長く味わわされた。
どっちがどっちのくちびるか、わからなくなるほど。



「も……やめて……くるしい、あきみちさん」



殺されてしまう。


砂糖をじかに飲ませられているみたいな。
なにも摂取していないのに、胸焼けしそう。



「ごめんね……かわいくて、茜ちゃんのくちびる、あまくておいしいね……すき、だいすき」



頬同士をすりすりとされる。
顔をそむければ、追いかけてきたくちびるが頬にキスをしてくる。


しつこい、やだ。