病んだ心をつまびいて




しばらくしてから、「おっまた〜♡」なんて死語をぶら下げながら、半裸で出てきた秋道さん。


もじゃふわ髪がぺたんとしてて、ほくほくなようでなにより。




「アイスあるよ〜。ハーゲンのダッツ。なに味がいい?あ、苺味はおれのね。茜ちゃんの苺クッキーおかげで、苺大好物になったんだぁ」


「……」


「茜ちゃんはちょっとつれないところがかわいーから、ビターなチョコにしよーか。限定味なの。特別だよ?」




ん、と。アイスのカップを差し出される。


私はそれを受け取らず、首を横に振る。




「なーに?チョコすきじゃない?」

「好きですが、いりません」

「じゃーおれの苺味と半分こしよう」

「けっこうです」

「気分じゃない?一緒にアイス食べて甘々したかったんだけどなぁ〜」

「秋道さん」

「隣失礼〜」




秋道さんは私のとなりに腰を下ろす。

るんるんと音符を浮かせながら、蓋を開ける。

ふわりと甘酸っぱい香り。


ひとくち、それを口にふくむと



「ん……」



後頭部に手を添えられる。



顔をかたむけて、私にくちびるを寄せて、重ねて

冷たいアイスを流しこんできた。



「っ!……っんぅ」



驚いた私は目なんて閉じられなかった。


反対に、うっとりまぶたを閉じる秋道さんが視界のすべてとなり、ぬるい苺味が口内に広がる。




「な、にするんですかっ」

「おすそわけ。おいし?」

「おいしくありませんっ……もう」




くちびるを拭おうとしたら、その手をつかまれてしまい、また口を合わせられる。



とろり

アイスと唾液が注がれて、飲み込むまで離してもらえなかった。