「お互い、刃物持ちの警察にバレたらやばいやつだったからさ、あの件についてはいったん沈めることにしたんだ。まぁ、次やらかしたら殺すって脅されちゃったけどね」
こともなげに言う秋道さん。
2人だけが納得して、区切りをつけたような口ぶりだけど、なにひとつ解決してない。
保身のため、私の恐怖については無いものにされたというわけだ。
血まみれの秋道さんを放置しろなんて思ってない。
あきらかにやりすぎではあったから。
けど、私が味わった命の危機を、なかったことにしていいわけではない。
悲しみと、わずかな怒り
ロウソクの炎がひと回り小さくなったような感覚だった。
「知り合いのあまりうるさく言わない医者のもとまで肩貸してもらってね。道中はずっと茜ちゃんの魅力について言い合ってたよ。第2ラウンド始まっちゃうかと思った。でも、不思議な子だね、新山くんは。他人の気がしないくらい、歪んでる」
垣間見える、仄暗い背景。
そしてこの男は、新山くんの姿に自分の異常さの正当化をしようとしている。
そんなの許さない。



