「確実に速くなってるな」
「うん。私たち相性ばっちりだね」
放課後恒例の二人三脚練習。
フォームを確認しながら息を合わせて数本走ったあと、着実な成長をお互いに感じた私たちは、顔を見合わせて笑った。
もう少しで体育祭も本番だ。
華凛を筆頭に見えないところからの嫌がらせは続いているものの、どうにか踏ん張っている毎日。
ほぼいじめといっても過言ではないけど、負けるわけにはいかなかった。
それより今は、大好きな新山くんと2人きりの数十分。
幸せな時間。
そう、胸に消えない濁りを消すように、自分に言い聞かせる。
「つーか平石……今日、いつもと匂い違うな」
「あ……気づいた?ヘアミスト変えてみたの」
「うん。すぐわかった。この香り、好きだ。前の香りも……もちろん好きだけどな」
肩を組んで片足が繋がったままの密着状態。
新山くんはがっしりとした両腕を私の体にまわし、ぎゅっと閉じ込めてからつむじにくちびるを落としてくる。
「かわいいな……」
「ゔっ、ストレートっ」
「ばーか。おまえに言われたくない。今日は言ってくれねーの?新山くん大好きって」
「ぅお、す、すき、デス」
「"大"が抜けてる。俺は平石のこと大好きなのに」
「ほあっ」
「ははっ、へんな声出すなよ。……ほんと、なにしててもかわいいな、おまえ」
低い声を溶かしながら甘い声を注いでくる。



