.
「うえー、ガチでヤバい、きもい、秋道さん。それもう事案じゃんね」
話を聞き終えた仁奈は、眉間に深くシワを刻んで吐き出した。
なんだかんだいいつつ、きちんと気持ち悪がってくれるのがどれだけありがたいことか。
「え、茜、べつにカノジョでもないんでしょ?」
「うん」
「新山のことが好きだって伝えてるんでしょ?」
「うん」
「それなのにその執着心……恐れ入ったわー。現代の草食系男子女子共にバイタリティ分けてやりたいね」
まったくそのとおりだ。
秋道さんは遠慮というものを知れ。
「この仁奈様含め、人に相談したらさらに被害が広がるから、だからなにも話せなかったと」
「そう、です。意気地がなくてゴメンナサイ仁奈さん」
「いーよ。茜がちゃんとわたしのこと大好きだってことは確認できたしね」
いたずらっぽく歯を見せる仁奈。
なんでこの女に彼氏ができないのかほんと不思議。
「しかもなんか新山までわけわからんヤンデレ覚醒始まったっぽいし?びっくりだよ。そんなキャラだったっけ?」
「ぜっっったいにちがう!新山くん……なんだか秋道さんみたいな言動を取るようになっちゃって。すこし……こわい」
似てきた……とはまた違う。
新山くんの内に秘めていた激情のタガが外れた、みたいな。
そしてその性質が秋道さんの狂気と類似していて、恐怖が2重となっている。
「殺してでも手に入れる、か……。そんでナイフまで持ち出して。そこまでいくと恐怖だよねー。茜ヤバメンズホイホイすぎない?」
「う……そんなつもりは」
「しかもしかも、みんなの前で公開キスとかフツーにやりすぎじゃん?新山とだって付き合ってないんだもんね?」
「うん……」
「もう学年中で広まってるよ。茜と新山がデキてるって。幸い、動画とかは撮られてなかったみたいだけど」
新山くんのくちびるの感触、熱さ。
まだ私のくちびるに残ってる。



