「また新山が騒いでんの?」
「茜関連じゃん、いい加減にしてよね」
聞こえてくる不服不満の声。
華凛がこの場にいないのが唯一の救いだけど、それも時間の問題だ。
私はすぐに新山くんに訴えた。
「に、新山くんありがとうっ、私は大丈夫だよ!大丈夫だから……早瀬の手を離して?」
「それは聞けない。こいつは汚い手でおまえに触れた。おまえを怖がらせた」
「平気だよ!新山くんが来てくれたから、もうへっちゃら!」
最大限の笑顔を向ければ、まっくろな眼球に光がもどる。
「……わかった」
乱暴に早瀬の手を離すと、新山くんは流れるように私の肩をやさしく抱き寄せた。
じっと見つめられ、頬が熱くなる。
「新山くん……?」
「平石……ここ、赤くなってる」
大きな手のひらに包まれたのは、華凛に叩かれた左頬だった。
ビクリと反応してしまい、新山くんが眉をひそめる。
「これ……誰にやられた?」
「ああ!えっとね、ちょっと扉にぶつけちゃって、その……」
「いいや。そんなモンにぶつけてできる赤みじゃねぇよ。誰の仕業だ。誰がおまえを傷つけた」
「新山くん……」
「言え。俺が殺してやる」



