病んだ心をつまびいて



目の前の世界にヒビが入った感覚だった。


私のために人を殺すだなんて……。



新山くんのまとうオーラがみるみるうちに冷たく恐ろしいものへと変容していく。


まずい、どうにか誤魔化さないと……華凛の身が危ない。
憎まれても恨まれても、傷つけたいわけじゃないから。



「あ……っ……」



なにか言わないといけないのに歯の根が合ってくれない。



尋問にも近い、圧の中でただ見つめ合う時間が流れて、教室内には不穏な空気が充満する。



しばらく震えていると




「……また、他のやつのコト考えてんのか……」




新山くんは諦めたようにひとつ息をつき、クラスメイトをぐるりと見渡したあと、ゆっくり口を開いた。




「今現在拡散されている動画のせいで、てめぇらが平石にどんな感情を抱いているのか知らねぇが……安易なことはしないほうがいい」




背を屈めた彼の整った相貌が近づいてくる。





「こいつは俺のものだ」





見せつけるように、わからせるように

私のくちびるを奪った。