「茜、アンタすごいね。そっかぁ〜。新山と動画の男……どっちもに言い寄られてんだぁ?」
華凛が首を伸ばして顔を近づけてくる。
茶色がかった大きな瞳には私の怯えた姿が映っていた。
本当に、なにもかもを見透かされてしまった。
「そりゃ言えないよねぇ、うしろめたいよねぇ。アタシが欲しくてたまらない男は、アンタのことが好きなんだから」
襟を掴まれる。
首すじに強烈な視線を注がれる。
紅い、紅い、執着の痕。
「アンタは2人の男からの好意をなあなあにしたまま、キスマークなんていうマーキングだけは受け入れて、チヤホヤされてる状況を楽しんでるんでしょ?」
「ちがう……っ、そんなんじゃ…」
「黙れよアバズレ!!!」
頬を叩かれた。
ジンと痺れる皮膚に、華凛の抱く感情が伝わってくる。
「1年の頃からずっと好きなの……でも、どんなに話しかけても、そばに寄っても、アタシのことを視界に入れてくれたことなんてなかった」
肩を震わせながら華凛が言う。
切実で、哀しげな瞳がゆらゆら揺れている。



