私と新山くんが正式なカップルとして成り立っていたら、きっとこんな空間なんて怖くなかった。
胸を張って言い返すことができていた。
けどいまは状況が違う。
新山くんの想いを受け取らず、自分の都合で放置している。
強い愛からくる彼の歪みを怖いとすら思っている。
秋道さんの存在が原因とはいえ、新山くんに恋をしている華凛がそんな真実を聞こうものなら、どんなことをしてくるか分からない。
華凛は2年の頃、気に入らないクラスの女子数名を退学まで追い詰めたらしい。
ほかにもひどい噂が後を絶たなくて、私もなるべく関わらないようにしていたんだ。
すると、私のすべてを見透かすように2つの目を光らせていた華凛が静かに長いまつげを伏せた。
そして、にんまりと歯を見せる。
「なぁんだ、そーゆーこと」
低い声にぞわぞわと寒気が走った。



