病んだ心をつまびいて



「……私は新山くんの恋人ではないよ。これはまぎれもない事実」



振り絞った声に、華凛は表情をいっさい変えず


ただ一言「証拠は?」と放った。



「物質的な証拠はないけど、気になるなら新山くんに直接訊いてみればいいよ。私は新山くんの連絡先すら持ってないから」



スマホを華凛に差し出した。


笑えてくる。
秋道さんによってもたらされた喪失が、回り回って救いになるかもしれないだなんて。



私のスマホの中身をしばらく確認したあと、華凛はなにも言わずに投げて返してきた。


腕を組み、舐めるように観察してくる。




「アンタが潔白だっていうなら、動画の男とはどーいう関係なの?」


「あのひとは……」




ふたたび言葉に詰まる。
華凛はどこまで踏み込んでくる気なんだろう。
どう説明したら納得してくれるのか。



たとえありのままを話しても
『イカれたアプローチをしてくる変態野郎です』だなんて言えば、余計な疑念を増やす可能性がある。



それに、事実を歪曲されて、あることないことさらなる噂を広げられるかもしれない。