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やってきたのは空き教室。
埃っぽくて薄暗い。
今の私の心境を表すにはぴったりな空間だった。
「アタシね、新山のことが好きなの」
唐突な告白に驚く。
その横顔はさっきまでの棘々しさが嘘みたいに可愛らしくて、年相応の恋する女の子そのものだった。
「だからこそ率直に問うわ。茜、アンタって新山のなんなの?」
私を視界に映した瞬間、彼女の目は冷たいものに変わる。
これまた返答に困る質問だ。
"新山くんに恋する一般女子高生"
華凛となんら変わらない立場だったはずなのに、今となっては危険な綱を渡っているだなんて。
それこそ、動画のせいで生まれている誤解も、あながち間違いではないような状態になってしまっている。
ふたりの男のはざまで揺れ動く、身持ちのゆるいビッチ女。
複雑すぎてなにから説明すればいいのか分からない。
とにかく冷静に言葉を選ばなければ。



