そもそも私と秋道さんが知り合ったのは
半年前、このマンションへ引っ越してきてすぐのことだった。
ご近所さんに挨拶ついでに菓子折をお渡ししにいくため、まずはお隣さんへと向かった。
インターホンを押し、待つこと数分。
『………はい』
出てきたのはげっそりと痩せこけた廃人のような男性
───秋道さんだった。
一瞬本気でゾンビかと思い悲鳴をあげそうになったけど、そこをぐっと堪えた私。
ゾンビとはいえ初対面で怯えられてはショックだろう。
『あの…隣に引っ越してきた平石です。
どうぞよろしくお願いします』
ヒクつく唇を無理やり吊りあげ、笑顔を貼りつけながら菓子折を差しだせば
ゾン…秋道さんはそれをじっと見つめた。



